「Windows Server バックアップ」で十分なケースとは?

Windows Server
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Windows Server標準ツールである「Windows Server バックアップ」について、別の記事では、他方式との比較や、機能を深堀りして紹介しました。それを踏まえて、「結局、どういうシーンなら使えるのか」という点を紹介します。

Windows Server バックアップの特徴まとめ

まずは前回の記事のおさらいです。次のような長所と短所があります。

  • 長所
    • 無料で使える
    • 操作が簡単(GUI操作)
    • ドライブ単位の高速なバックアップ(ボリュームバックアップ)が可能
    • 静止点の確保(VSSスナップショット)が可能
    • システムのバックアップ(ベアメタル回復)が可能
    • ローカルドライブへの保存の場合、世代バックアップが可能(世代数は指定不可)
  • 短所
    • NASや共有フォルダへ保存する場合、世代バックアップが不可
    • 市販のNASによってはバックアップできない場合がある
    • バックアップスケジュールは「毎日」しか選べない
    • バックアップの結果通知の機能がない

どういうケースなら使えるか

システム変更前の環境保持

例えば、OSや重要なソフトウェアのパッチを当てる前に、現環境をバックアップしておき、失敗しても元に戻せるようにしたいというシーンです。もっとも、現在の主流は仮想サーバーですので、ハイパーバイザーのスナップショット機能を使ったほうが簡単ですが。その機能が使えない環境や、物理サーバーであれば重宝します。

私も過去に、物理サーバーでActive Directory ドメインコントローラーの検証をしていた時には、Windows Serverバックアップを使って、何度も環境を復元していました。ローカルのEドライブなどをバックアップ用のドライブに割り当てて、バックアップ時に「ベアメタル回復」にチェックを入れてバックアップするだけで、今でいうスナップショットの出来上がりです。戻すときは、OSのインストールDVDでブートして、システムの回復メニューからバックアップ時点を選択するだけでOKです。

このケースの注意点としては、ストレージの障害対策にはならないということです。上の例では、サーバのHDDが故障すれば、復元できません。

最新の世代のみバックアップする

Windows Serverバックアップでは、保存先をNASや共有フォルダにした場合、世代バックアップができません。世代バックアップの重要性については、前回の記事でも書きましたが、本番システムでは、基本的に複数世代をバックアップすることをお勧めします。

そのうえで、例えば次のケースを考えてみます。

  • バックアップ対象
    • 自サーバにインストールしたデータベースソフトのデータ
  • バックアップ先
    • 別筐体のサーバー(Windows Server)のローカルディスク
    • 上記を共有フォルダとして、バックアップ元から書き込みできるよう設定
  • バックアップ方式
    • (1) データベースソフトのツールで、一旦自サーバのEドライブにデータを吐き出す
      • 日曜日はフルバックアップ
      • 月~土曜日は、前回からの増分をバックアップ
    • (2) Windows Serverバックアップで、Eドライブのデータを、別筐体のサーバーに保存
      • スケジュールで毎日(1)の処理の後に実行

バックアップ対象のデータがすでに複数世代を持っているという例です。そういうケースならWindows Serverバックアップで世代バックアップしなくても大丈夫でしょう。ただ、「(1)で共有フォルダに直接吐き出せばよくない?Eドライブ無駄じゃない?」というツッコミが聞こえてきそうです。その通りですよね。とはいえ、ツールの制限などで、それができないケースというのも珍しくはないと思います。実際、そういうケースは結構ありました。

USB接続の外付けHDDなどにバックアップする(実績なし)

バックアップデータの保存先をローカルドライブにすると物理的な障害対策にならないし、NASや共有フォルダにすると世代バックアップできないし…私の場合は、この理由で市販のバックアップソフトを採用するケースが多いです。しかし、USB接続の外付けHDDならどうでしょうか。サーバーのストレージが障害で吹っ飛んでも、外付けHDDはまず無事でしょう。そして、ローカルドライブなので世代バックアップも可能。そして(サーバー機器に比べて)安価です。

ただし、ここまで書いておいて申し訳ないのですが、私はこの方式を採用したことがありません。理由は次の通りです。

  • 仮想化サーバーの場合、USB接続機器が使えない
    • 使うと仮想マシンの移動(フェールオーバーなど)に制約がでる
  • サーバー機に対する「常時USB接続状態」の信頼性に不安がある
    • SASやFCはあるけど、USBでの接続は実績がない
    • サーバーが施錠されたラック内にある場合、頻繁にUSBケーブルの挿し直しが必要になると、運用の手間が増える

2つ目は杞憂かもしれませんが、結局試したことがありません。ですがもし、事務室内に置くタワー型の物理サーバーで、そこまでミッションクリティカルでないシステムであれば試してみたい気もします。

工夫して欠点を補う

上に書いたWindows Serverバックアップの欠点を、自分の手で工夫して補うという方法もあります。私も、バックアップにお金をかけられず、手間をかけるしかないという案件では、これでやっています。詳細な方法は、別の記事で紹介しています。

おわりに

今回の記事は以上です。不備やご意見等ありましたら、下のコメント欄やtwitterからお願いします。

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もとだて
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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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