「記憶域バスキャッシュ」の代替方式を考える (1)CacheCade

Windows Server
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別の記事で「記憶域バスキャッシュ」について紹介しました。しかし、ディスク本数の要件が厳しく、情報も少ないため、導入には不安があります。HDDとSSDのハイブリッドストレージの構築を検討している場合、RAIDコントローラーの機能で実現できる「CacheCade Pro 2.0」を併せて検討してみてはいかがでしょうか。今回はそんな記事です。

はじめに

Windows Server 2022で新たに追加された機能「記憶域バスキャッシュ」を使うと、SSDとHDDなどの混在させたハイブリッドストレージを構築できることは、以下リンクの記事で紹介しています。

別記事で触れた通り、この機能はWinodws Server 2022が必要なうえ、SSD,HDDの本数を多く搭載しないと信頼性が確保できないようです。

そのため、別の方式で同じようなことが実現できないか考えてみます。今回は、RAIDコントローラーの機能(CacheCade Pro 2.0)を使う方式について紹介します。

CacheCade Pro 2.0とは

多くのサーバー機器が採用するRAIDコントローラーの「MegaRAID」という製品には、「CacheCade Pro 2.0」というオプション機能があります。下のリンクは富士通の同機能のページで、ここに詳しい説明があります。

この機能を使うと、HDDのデータのうちアクセス頻度の高い「ホットデータ」を、SSDにキャッシュすることで、性能向上を実現できます。

MegaRAID CacheCade Pro 2.0 動作イメージ
画像引用元:富士通株式会社 https://jp.fujitsu.com/platform/server/primergy/technical/handbook/raid-license/

富士通製サーバー「PRIMERGY」の場合は、パーツ構成を選定する際に、この機能を有料で追加することにより使用できます。ちなみに、そこまで新しい機能ではなく、10年ほど前から出ています。

記憶域バスキャッシュとどう違う?

「CacheCade Pro 2.0」が記憶域バスキャッシュと異なる点は次の通りです。

記憶域バスキャッシュより優れる点
  • ディスク搭載本数を少なくできる。OS用のディスクと分けなくても良く、例えばSSD 2本(RAID1) + HDD 2本(RAID1) の合計4本で、信頼性を確保しつつ性能向上できる。
  • 設定が比較的簡単。記憶域バスキャッシュは情報が少なく、複数のコマンド操作が必要だが、「CacheCade Pro 2.0」は、RAIDの設定画面でマニュアルに従って有効化すれば良い。
  • OS上では設定不要であり、意識しなくてよい。
記憶域バスキャッシュより劣る点
  • 対応ハードウェア(RAIDコントローラー)が必要
  • ハードウェアの他に、本機能のライセンス費用が必要(※)な場合あり。

※富士通 PRIMEGYサーバーの場合、本記事作成時点では「RAIDソフトウェアライセンス」というオプションで定価58,000円(税別)。ただし2021年末で販売終息予定とのことで後継品は不明。

「CacheCade Pro 2.0」のパフォーマンス

申し訳ないのですが、「CacheCade Pro 2.0」を有効化して検証できる環境が無く、記憶域バスキャッシュとのパフォーマンス比較結果は提示できません。

ただし「CacheCade Pro 2.0」単体の性能レポートは、前述の富士通のページから参照することが出来ます。ページの「RAID コントローラーのパフォーマンス2013」というタイトルのPDFのリンクをクリックして下さい。

この資料では、「CacheCade 2.0」を有効化することで、HDDのみの構成と比べて格段に高いパフォーマンスになることが、そのデータとともに掲載されています。

で、結局使えるの?

「CacheCade Pro 2.0」は、HDD領域全体のうち特定の小領域(ホットスポット)にアクセスが集中している場合に、それをSSD層に置くことで性能向上を実現する方式とのことです。このようなデータアクセス傾向があるシステムサーバー、特にデータベースサーバーでは有効だと考えられます。

前述の通り、ハードウェア調達段階で適切なパーツ・ライセンスを選定しておけば、設定有効化はシンプルです。特に、記憶域バスキャッシュのようにOSのバージョンや、ディスク本数の要件が厳しくないので、十分検討する価値はあるでしょう

コスト面でも、対応するRAIDコントローラーやライセンスという追加費用も必要になりますが、全体のディスク本数を少なくできる可能性が高いため、同等かそれ以下の価格で実現できそうです。また、設計および構築作業も、記憶域バスキャッシュよりも簡素で済みそうです。

補足

富士通の製品ページで、このCacheCade Pro 2.0ライセンスにあたる「RAIDソフトウェアライセンス」(PY-RLAS031)が「※2021年12月27日販売終息予定」という記述を見つけました。後継製品が出るのか、この機能自体削られるのかが不明です。構成を検討する際には、ハードウェアメーカーにこの機能が搭載可能か確認したほうが良いでしょう。

記憶域バスキャッシュ まとめ

記憶域バスキャッシュについての情報は、以下記事にまとめています。

おわりに

今回の記事は以上です。不備やご意見等ありましたら、下のコメント欄やtwitterからお願いします。

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もとだて
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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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