別の記事で「記憶域バスキャッシュ」について紹介しました。しかし、ディスク本数の要件が厳しく、情報も少ないため、導入には不安があります。HDDとSSDのハイブリッドストレージの構築を検討している場合、RAIDコントローラーの機能で実現できる「CacheCade Pro 2.0」を併せて検討してみてはいかがでしょうか。今回はそんな記事です。
はじめに
Windows Server 2022で新たに追加された機能「記憶域バスキャッシュ」を使うと、SSDとHDDなどの混在させたハイブリッドストレージを構築できることは、以下リンクの記事で紹介しています。
別記事で触れた通り、この機能はWinodws Server 2022が必要なうえ、SSD,HDDの本数を多く搭載しないと信頼性が確保できないようです。
そのため、別の方式で同じようなことが実現できないか考えてみます。今回は、RAIDコントローラーの機能(CacheCade Pro 2.0)を使う方式について紹介します。
CacheCade Pro 2.0とは
多くのサーバー機器が採用するRAIDコントローラーの「MegaRAID」という製品には、「CacheCade Pro 2.0」というオプション機能があります。下のリンクは富士通の同機能のページで、ここに詳しい説明があります。
この機能を使うと、HDDのデータのうちアクセス頻度の高い「ホットデータ」を、SSDにキャッシュすることで、性能向上を実現できます。
富士通製サーバー「PRIMERGY」の場合は、パーツ構成を選定する際に、この機能を有料で追加することにより使用できます。ちなみに、そこまで新しい機能ではなく、10年ほど前から出ています。
記憶域バスキャッシュとどう違う?
「CacheCade Pro 2.0」が記憶域バスキャッシュと異なる点は次の通りです。
※富士通 PRIMEGYサーバーの場合、本記事作成時点では「RAIDソフトウェアライセンス」というオプションで定価58,000円(税別)。ただし2021年末で販売終息予定とのことで後継品は不明。
「CacheCade Pro 2.0」のパフォーマンス
申し訳ないのですが、「CacheCade Pro 2.0」を有効化して検証できる環境が無く、記憶域バスキャッシュとのパフォーマンス比較結果は提示できません。
ただし「CacheCade Pro 2.0」単体の性能レポートは、前述の富士通のページから参照することが出来ます。ページの「RAID コントローラーのパフォーマンス2013」というタイトルのPDFのリンクをクリックして下さい。
この資料では、「CacheCade 2.0」を有効化することで、HDDのみの構成と比べて格段に高いパフォーマンスになることが、そのデータとともに掲載されています。
で、結局使えるの?
「CacheCade Pro 2.0」は、HDD領域全体のうち特定の小領域(ホットスポット)にアクセスが集中している場合に、それをSSD層に置くことで性能向上を実現する方式とのことです。このようなデータアクセス傾向があるシステムサーバー、特にデータベースサーバーでは有効だと考えられます。
前述の通り、ハードウェア調達段階で適切なパーツ・ライセンスを選定しておけば、設定有効化はシンプルです。特に、記憶域バスキャッシュのようにOSのバージョンや、ディスク本数の要件が厳しくないので、十分検討する価値はあるでしょう。
コスト面でも、対応するRAIDコントローラーやライセンスという追加費用も必要になりますが、全体のディスク本数を少なくできる可能性が高いため、同等かそれ以下の価格で実現できそうです。また、設計および構築作業も、記憶域バスキャッシュよりも簡素で済みそうです。
補足
富士通の製品ページで、このCacheCade Pro 2.0ライセンスにあたる「RAIDソフトウェアライセンス」(PY-RLAS031)が「※2021年12月27日販売終息予定」という記述を見つけました。後継製品が出るのか、この機能自体削られるのかが不明です。構成を検討する際には、ハードウェアメーカーにこの機能が搭載可能か確認したほうが良いでしょう。
記憶域バスキャッシュ まとめ
記憶域バスキャッシュについての情報は、以下記事にまとめています。
おわりに
今回の記事は以上です。不備やご意見等ありましたら、下のコメント欄やtwitterからお願いします。
Windows Server の知識をさらに深めるには、書籍もおすすめです。Windows Server は実は機能が豊富で、Webに情報がないケースも多いです。無駄に探し回らないために、良書を手元に置いておくと効率的です。おすすめの本は、以下記事にまとめています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
フィードバック
あなたが抱えている疑問や悩みは解決できたでしょうか?当ブログではそれを最重視しています。今後もあなたの役に立つ情報を提供するために、ぜひ教えて下さい。
コメント